木材の特徴・特性

構造材として使われる木の特性

木材は、昔から樹木の特性に応じて適材適所で、家づくりに使われてきました。

  • 柱⇒ヒノキやスギ(強くて真っ直ぐ)
  • 土台⇒ヒノキやヒバ(湿気に強い)

調湿作用

木は呼吸をしています。室内の空気が乾燥してくると、木は蓄えていた水分を空気中に放出します。
逆に、梅雨のような湿気の多い時期には、空気中の水分を吸収します。
つまり、人間が快適に暮らせるよう室内の湿度をコントロールするのです。
自然のエアコンの役割を果たしてくれるわけです。

断熱性能

木は、鉄やコンクリートの熱伝導率と比較すれば、いかに木が断熱性に優れているかがわかります。
木の熱伝導率は、コンクリートの約15~20分の1。鉄では、何と約300分の1を下回ります。

熱を伝えにくいということは、それだけ断熱性が高いことを意味します。
鉄筋コンクリート造に比べて木造の家が冬暖かく、夏涼しくすごし易いのは、木の持つ優れた「断熱性」によるものなのです。

木は圧縮力に強い

圧縮力に対する木の強さは、コンクリートの約5~6倍近くにもなります。
また、引っ張り強度は鉄の約4倍にも及びます。
一辺10センチの節のないサイコロ型の木を、生えていた時と同じ方向へ置いた場合(木は方向により強さが異なります)破壊するには約40トンの力が必要なのです。
ちなみに、熟練した大工は木材を一瞬見ただけで、伐採前の木の状態を把握できます。

木は地震に強い

一般に、木造住宅は鉄筋コンクリート造りの家より地震に弱いというイメージがあります。
であるならば、有形文化遺産や国宝と呼ばれる大昔に建立された建物は、地震に弱いのでしょうか?

重さあたりの比強度において優れる木材でつくられた木造住宅は、その重量が鉄筋コンクリート造の家よりもずっと軽くなります。
地震エネルギーは、建物の重さに比例して重い建物ほど大きなエネルギーがかかります。
その為、軽い木造の方が地震力にはうまく抵抗する事ができるのです 。

地震力や台風時の風圧力に対ししっかり計算され、さらに長持ちするための工夫がなされた木造住宅なら、大きな地震がきても簡単に壊れる事はありません。
昔の大工さんは強度計算方法を知らないハズですが、伝統と経験に裏打ちされた匠の技術力で、今もなお現代に素晴らしい国宝を残してくれています。

木は生まれ変わる

木は、人の一生よりも遥かに長く生き続けることが出来ます。
屋久杉なんて1,000年以上です。自然が生んだ強い生命力です。
また伐採された後も、樹木として生きてきた年月と同じだけ生き続けると、言われています。

製造された時から劣化が始まる無機質の鉄やコンクリート。それらに対して、木は伐採された後でも強度が維持されます。
むしろヒノキなどでは、切られてから200~300年の間は曲げや引っ張り強度などが少しずつ増大、
その後1,000年かけて元の強度に戻ることが、法隆寺の柱から確かめられています。

気持ちが落ち着く心地よい音響効果

クラシックコンサートや管弦楽を鑑賞しに出かけた事はありませんか?
音楽ホールの多くが、内装に木を使っていることをご覧になった事があると思います。

これは、木には全ての音域をバランスよく、きれいに響かせるという特性があるからです。
その上、表面の凹凸が音を複雑に反射させることで、音に丸みと深みを与える音響効果があると言われています。
バイオリンやクラシックギターなど、楽器のボディも木を使用していますね。

森林浴効果

森の中を散歩した時、時を忘れ心地良くなったことはありませんか?
山や森林に入ると独特の森のにおいがします。
このにおいの正体が「フィトンチッド」と言う、樹木から発散されている成分です。
人がこのフィトンチッドのにおいをかぐと、心が落ち着き、リラックス状態になると言われています。

特に、マツ・ヒノキなどの針葉樹林ではフィトンチッドの発散量が多く、フィトンチッドには自然の抗菌作用や脱臭作用があることも知られています。
また木に含まれる「αピネン」という成分には、脳や身体をリラックスさせ内臓を活発にし、手足が温まってきて、しかも殺菌力まであると言われています。
木造住宅に住めば、家で森林浴効果を味わうことが出来ますね。

癒し効果

木が持つ木目には、人間に癒し効果を与えます。
自然界には、人間の生体リズム(呼吸や心拍など)と同様の独特のリズムがあります。
それは「1/fゆらぎ」と呼ばれるリズムです。

何と、木漏れ日や木の年輪の間隔にも、この「1/fゆらぎ」があると言われています。
このゆらぎが、私たちの心に安らぎを与えてくれるわけです。

無機質の物(鉄やコンクリート)を触って、温もりを感じる人はいないと思います。
木の癒しは「肌触りの良さと心地よい温もり感」も要因のひとつのようです。
木は人間にとって「癒し系」なんです。
旅行したときに、ホテルと旅館、どちらが落ち着きますか?